海洋・河川ボランティアとは?水辺の環境を守るためにできること

海と川の大切な機能とそれを守るボランティア活動
雨は地上に降り注ぐと、一部は地中に染み込み、一部は地表を流れて川に集まり、最終的に海へとたどり着きます。その一方で、水は地表や川、海から蒸発して大気に戻り、再び雨となって循環します。このように水は絶え間なく循環を繰り返し、地球全体の環境を支えています。
海は地球環境と人の暮らしに欠かせない存在です。気候を安定させる「気候調節」、食料やエネルギーを供給する「資源利用」、多様な生き物を育む「環境保全」、そして観光や文化を支える「文化的役割」など、多面的な機能を担っています。
一方、河川には洪水や渇水から生命や財産を守る「治水」、生活用水や農業用水を支える「利水」、さらに生態系や歴史的文化、景観や憩いの場を守る「環境」という役割があります。
このように海と川は互いにつながりながら、自然と人間社会の両方を支える大切な存在です。その機能を守り次世代へ引き継ぐためには、私たち一人ひとりが参加できる海洋・河川ボランティアの取り組みが重要となっています。
なぜ海洋・河川ボランティアが必要なのか
近年では、プラスチックごみや生活排水による水質汚染、外来種の侵入といった問題が深刻化し、この大切な循環が脅かされています。海に漂うごみの多くは、実は陸地や河川から流れ込んだものとされており、河川の環境を守ることはそのまま海の保全につながります。
こうした状況に対して、市民が主体となって取り組むのが海洋・河川ボランティアです。河川敷や海岸の清掃活動をはじめ、水質調査や生態系の観察、外来種の駆除など、活動内容は多岐にわたります。小さなごみを一つ拾うことから始めても、それがやがて海や川の未来を守る大きな一歩となります。
海洋・河川ボランティアの主な活動
- 海岸清掃
- 河川清掃
- 外来種駆除
- 水質、生態系調査
- 環境教育活動
海洋・河川ボランティアの活動の中で、最も身近で参加しやすい活動が清掃活動で、子どもから大人まで幅広い年齢層の方が気軽に参加できます。長年問題となっている海洋ごみの大半は河川から流れるものと考えられているので、お住いの地域の河川清掃に参加することも海洋ごみ問題への取り組みに繋がります。もちろん、海岸に集まるごみの回収も大変重要な活動となるので、ご自身が取り組みやすい場所からボランティア活動を始めることが、無理なく長く続けるための第一歩になります。
外来種の駆除や、水質、生態系調査の活動等は、年齢制限やその他条件があるケースもあるので、募集要項は事前にしっかりと確認しておきましょう。
参加方法と探し方
海洋・河川ボランティアに参加したいと考えた時、まずはお住いの地域の情報を確認するのが最もわかりやすく、参加しやすいでしょう。市区町村のホームページや地元の市民団体による清掃活動報告、活動者募集などがSNSや公式サイトで発信されています。また、公民館や役所などでも案内している場合があります。
環境省が連携して行う全国的なキャンペーン(例:海ごみゼロウィーク等)のように、多くの団体が参加する全国一斉清掃日もあります。情報を確認して、このようなキャンペーンに参加するのもいいでしょう。清掃活動は事前申し込みが必要なものもありますが、当日参加可能なケースも多々ありますので、初めてでも参加しやすいでしょう。
海洋・河川ボランティアは、学生や親子連れでも参加できる活動が多いため、家族の体験学習として取り入れるケースも増えています。
海洋・河川ボランティアに参加する際の準備
海洋・河川ボランティアに参加する際には、動きやすい服装が基本となります。草や木で肌に傷がついてしまう事や、ガラス片や缶ごみを拾う際に手を切ってしまう事もあるので、季節を問わず長袖長ズボン、手袋の着用をお勧めします。また、足元は歩きやすいスニーカーから、状況によっては長靴も必要となりますが、活動の内容によって変わりますので、主催者からの案内を確認しておきましょう。
海洋・河川ボランティアは屋外での活動なので、服装以外にも下記のものを用意しておくと安心です。
- 汗拭きタオル
- 飲み物
- 帽子
- 着替え
夏であれば熱中症対策、冬であれば防寒を意識し、どのような活動でも両手があけられるように荷物はリュックサックに入れていくといいでしょう。活動内容によって必要となる持ち物も変わりますので、不明な点があれば、事前に確認しておきましょう。
また、活動内容によっては参加費がかかる場合や、保険加入が必要であったり、宿泊費などが必要となるものもあります。服装や持ち物だけではなく、これらの内容もふまえ、自分の生活リズムや体力に合った活動を選び、無理なく参加できるボランティアを探すことが、長く続けられる秘訣です。
安全面への配慮は怠らない
海岸や河川敷は足場が不安定なこともあり、転倒などの危険があります。濡れた岩場やぬかるみは特に注意が必要でしょう。比較的軽作業である清掃活動であっても、割れたガラスや鋭利な金属片、針のついた注射器など危険なものも混ざっています。危険物は素手で触らず、必ず作業用の厚手の手袋の着用や、トングを使用しましょう。
海では潮の満ち引きによる危険もあります。活動時間や場所、禁止事項など、必ず主催者の指示に従って行動しましょう。また、お子様との参加の場合には、大人は目を離さないようにすることも大切です。
身近な海や川のボランティア活動に一歩踏み出そう
水辺の環境は私たちの生活に直結しています。海洋・河川ボランティアは、特別な知識がなくても、だれでも参加できるボランティア活動が多くあります。 ゴミ拾いと言った小さな行動でも、実は海洋生態系を守る大きな力となりますので、ぜひ身近な海や川のボランティアに参加してみてください。