国立公園とは。自然景観、生態系、歴史、文化などを保護し、触れ合えるようにした区域

国立公園とは
国が特に美しい自然景観や貴重な生態系、歴史的・文化的価値を持つ地域を保護し、国民が楽しめるように整備した区域のことです。
国立公園は、次の世代も、私たちと同じ感動を味わい楽しむことができるように、すぐれた自然を守り、後世に伝えていくところです。そのために、国が指定し、保護し、管理する、役割を担っています。
日本に35ヶ所ある国立公園は、環境省が「自然の景観」「希少性」「原生性」「動植物」「歴史文化」などの観点から選定し、自然環境の保護と利用を目的に整備されています。日本列島は北は北海道、南は沖縄・小笠原諸島まで、わずかな国土ながら多様な自然景観を有し、国立公園ごとに独自の魅力を持っています。
年間約3億人以上が利用し、固有種や火山、生態系、文化の共存する「里山・里海」の姿も見どころです。
国立公園は自然についての知識を深めたり、自然とふれあるところでもあります。自然環境を保全しつつ、登山・キャンプ・温泉・観光など方法も様々です。こうしたアクティビティに振れやすいようにビジターセンターや歩道の整備なども行われています。
日本ならではの世界との違い
海外の国立公園は国有地を中心にしていることが多いですが、日本は海外のように土地が広くないため、国立公園のすべてを公園専用とすることが難しいという点があります。
国立公園には私有地を含む場合も多く、国立公園内で生活している人も多く、生活・文化が含まれているという点が大きな特徴です。
以下では、北から南へ35か所の公園の特徴を紹介します。
北海道エリア(7ヶ所)
- 利尻礼文サロベツ国立公園:利尻山・礼文岳・サロベツ原野。高山植物と砂丘風景が見事。
- 知床国立公園:原生の海と森林にヒグマや海鳥。2005年世界自然遺産登録。
- 阿寒摩周国立公園:カルデラ湖・ヒグマ・針葉樹林帯。摩周湖や阿寒湖がシンボル。
- 釧路湿原国立公園:日本最大の湿原、タンチョウやカモ類の楽園。
- 大雪山国立公園:国内最大級、250種以上の高山植物と140種超の鳥類。
- 日高山脈襟裳十勝国立公園(2024年6月指定):北海道南部、日高山脈から襟裳岬、十勝平野までを含む多様な自然地帯。陸域最大の新公園。
- 支笏洞爺国立公園:支笏湖・洞爺湖等、不凍湖と活火山、温泉地の競演。
東北エリア(3ヶ所)
- 十和田八幡平国立公園:十和田湖・八幡平の火山地形とブナ林。秋の紅葉が絶景。
- 三陸復興国立公園:リアス式海岸や震災復興の記憶を伝える遊歩道。
- 磐梯朝日国立公園:火山湖と高山帯、新緑や紅葉に映える磐梯山。
関東エリア(6ヶ所)
- 日光国立公園:男体山、中禅寺湖、華厳滝。歴史と自然の融合。
- 尾瀬国立公園:燧ヶ岳や湿原の植物群。水芭蕉やゴミ持ち帰り運動発祥地。
- 秩父多摩甲斐国立公園:奥多摩や南アルプスへの玄関口。自然散策に最適。
- 小笠原国立公園:固有種の宝庫。世界自然遺産・海中公園。
- 富士箱根伊豆国立公園:富士山・芦ノ湖・伊豆海岸。多彩な地形と温泉文化。
- 南アルプス国立公園:白峰三山など高峰と清流。自然環境に厳格な保護。
中部エリア(5ヶ所)
- 上信越高原国立公園:草津・志賀高原。火山地形と高山植物。
- 妙高戸隠連山国立公園:妙高山・戸隠。登山と温泉が人気。
- 中部山岳国立公園:飛騨山脈。北アルプスの核心地帯。
- 白山国立公園:ブナの原生林、イヌワシやニホンカモシカの生息地。
- 伊勢志摩国立公:伊勢神宮の神聖な森とリアス式海岸の美しい海景による歴史と自然の調和が魅力。
近畿(3ヶ所)
- 吉野熊野国立公園:紀伊山地。熊野古道と吉野山の桜名所。
- 山陰海岸国立公園:リアス式海岸や鳥取砂丘などの多彩な地形が魅力。
- 瀬戸内海国立公園:多島海風景。島々やサイクリングが魅力。
中国エリア(2ヶ所)
- 大山隠岐国立公園:中国地方最高峰の大山と独特な文化と自然を残す隠岐諸島が魅力。
- 足摺宇和海国立公園:黒潮に育まれた美しい海中景観と断崖の海岸線が魅力。
九州・沖縄エリア(6ヶ所+3ヶ所)
- 西海国立公園:九十九島を中心とした多島海景と豊かな海洋生態系が魅力。
- 雲仙天草国立公園:活雲仙岳の火山景観と天草諸島の多島海景が魅力。
- 阿蘇くじゅう国立公園:世界最大級のカルデラを抱く阿蘇山とくじゅう連山を中心に、火山と草原、湿原、温泉が織りなす壮大な自然美が魅力。
- 霧島錦江湾国立公園:桜島や火山列島。登山・温泉地。
- 屋久島国立公園:縄文杉や照葉樹林。世界自然遺産。
- 奄美群島国立公園:亜熱帯林と伝統文化の島。固有種多数。
- やんばる国立公園:沖縄本島北部。ヤンバルクイナなど希少生物の森。
- 慶良間諸島国立公園:サンゴ礁とクジラの繁殖海域。
- 西表石垣国立公園:亜熱帯林と珊瑚礁。イリオモテヤマネコの住む島。
35カ所の公園を巡ると、日本の自然の多様性と美しさに感嘆します。火山・湿原・高山・亜熱帯・海域…そしてそこで息づく動植物と、人との調和。自然の保護と観光利用の両立が進む今、次世代へ豊かな自然を伝えていく役割が国立公園には期待されています。
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